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[ 単行本 ]
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イギリスでお茶を―スコーン&クロテッドクリーム&アフタヌーンティー、おいしい旅へ (セレクトBOOKS)
・小関 由美
【主婦の友社】
発売日: 2006-10-01
参考価格: 1,575 円(税込)
販売価格: 1,575 円(税込)
Amazonポイント: 15 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 880円〜
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・小関 由美
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カスタマー平均評価: 5
思わずスコーンを焼いてしまいたくなる一冊 とにかく様々なスコーンの写真が載っているものだから、ページをめくっているだけで自分も出来立てのスコーンが食べたくなってしまいます。ちなみに今日は、サヴォイホテル風の上品なスコーンを製作。あとは、ねっとり黄色いクロテッドクリームさえあれば最高なんだけど。
紅茶だけでなく、クロテッドクリームも・・・。 イギリス関係の本をいろいろ出している著者の最新本。タイトルに紅茶とありますが、著者の興味あるイギリスの食、ワイナリーやローカルフードなどなど、イギリスの今の食事情がたのしめます。探していたクロテッドクリームの作り方(現地ではなく、日本で作る場合)が載っていたのは、とってもうれしかったです!
この本を持って・・・出掛けたい♪ 著者の視点や嗜好が私のそれにヒットしているので、新作を楽しみにしていました!イギリス南西部の酪農地帯でのクローテッドクリーム・デヴォンシャークリーム・コーニッシュクリームの探求は最高です☆予てからの私の中の謎が溶き解れました?。そして、そのレシピが載っていたのも嬉しい限り。ティーハウスの厨房の中までの様子や働く人たちの姿が優しく書かれているところに著者の人柄も感じます。「この本でこちらのお店を知りました?」と、出かけてみたくなる素敵な一冊でした。
てぃーふれんどのTeaBookレビュー コッツウォルズのカントリーサイドでのティーハウスからロンドンの最新ティープレイスの紹介です。中でもイギリス初の紅茶「トレゴスナン」茶園の紹介が掲載されてます。ところで最近ロンドンでもアフタヌーンティーが復活しつつあるそうです。
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[ 単行本 ]
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インドネシア駐在3000日
・坂井 禧夫
【連合出版】
発売日: 2006-06
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,368円〜
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・坂井 禧夫
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カスタマー平均評価: 4
いつでもどこでも楽しいことは見逃さない! インドネシア・ジャカルタで生活する家族の楽しいエッセイです。
南国ならではの、ありとあらゆる楽しくおかしな毎日や、どーしてこうなる?というカルチャーショックや大きな壁に当たりながらも、持ち前のバイタリティで暮らす、作者の姿が目に浮かびます。
趣味を持つということが、これほど人生に生き甲斐をもたらすのだ、という事もしみじみと伝わってきます。励まされる一冊です。
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[ 単行本 ]
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ポルトガル朝、昼、晩。
・ムラマツ エリコ ・なかがわ みどり
【メディアファクトリー】
発売日: 2002-07
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
Amazonポイント: 13 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 376円〜
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・ムラマツ エリコ ・なかがわ みどり
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カスタマー平均評価: 4.5
読み手の心理状態次第かな? 著者には失礼を承知でいえば、本書を含めて著者らの本の内容は非常に薄い。この薄い内容で、出版できるものなのか‥と、ある種の驚きを覚えるくらいである。 しかし、エジプトもベトナムもポルトガルも、本書を読んだあとでは、以前にも増して「行ってみたい」いう気持ちが募っている。
本の価値とは、その内容の濃さや量で決まるのではない‥と教えてくれた著者ら。本書の内容のあまりの薄さに、高密度な情報を渇望する多忙な人は、怒りすら覚えるかもしれず、その意味で誰にでも奨められる本ではないが、ポルトガルに行ってみたいと一度でも思ったことのある人は、すご?く時間のある時に読んでみると良いかも。
私は著者らの一連の本、なんとなく好きである。
ほころび 著者の著書の中で初めて読んだ本ですがなんとも気の抜けたイラストや文字、レイアウトなどなど会社でのストレスが薄れます。
気候の良い季節の休日、お昼ご飯の後にの?んびり、このままうとうと寝てしまうか?というような心地良さに包まれる1冊です。
のどかでもあり、笑いもかなりあり!
リアル体験 著者が発する『k・m・p』 =『金・儲け・プロジェクト』により行けちゃった海外旅行記です。
わたしは、気になる国の一つだけに、このポルトガル編が好き。
いつか長期で行きたいですね。
ほかにもエジプト編・ベトナム編があります。著者の二人は、エジプト好きだそうですよ。
どれも、その日の体験びっしりで、飾りの無い話がとてもリアル。
絵で見るインパクトと、独特の文章。
楽しい読み物と言うだけでなく、実際に出かけたときに役立つでしょうね。
チョコット海外暮らしで気分良くなった ただ単に、チョコット海外暮らしを体験したいだけでポルトガルに行った。そしてリスボンやポルトといった都会を選ばず、現地に行ってから小さな町を選び、ホテルを探して滞在する。食事は町のスーパーで買ってきて自室ですます。名所、旧跡は一切回らずポルトガルの片田舎の町での非日常的な暮らしの中で、そこに住む人々や猫、犬などが彼女達の感性で書かれているのが面白い。ガイド本としては役に立たないが、このように日常を市民の目で見たままに描かれているのは好きだ。明日、私がこの街角に立ったら、この本のように一日が始まるのだろう。
何度も繰り返し読める本 k.m.p.さんの旅本は3冊とも読みました。前2作とは少し違ったイメージ、いい意味で肩の力が抜けてる本です。力の抜け具合は訪れた国の違いなのかもしれません。エジプトやベトナムとは違った空気ですね。去年の4月、この本がきっかけでポルトガルを訪れました。ただただモンサラーシュの街に行ってみたい。そして丘の街から地平線に沈む夕陽を見たい。それだけが目的でした。リスボン、エヴォラ、そしてモンサラーシュ。この本にうなずくところもあり、印象が違ったなと思うところもあり。でも、モンサラーシュのあの風景と、フレンドリーとは言えないけど信用できるポルトガルの人々、美味しい食事などなど、本当に行ってよかった、また必ず訪れたいという旅でした。この本に出会えて、ポルトガルに出会えてよかったです。
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[ 文庫 ]
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流学日記―20の国を流れたハタチの学生 (幻冬舎文庫)
・岩本 悠
【幻冬舎】
発売日: 2006-06
参考価格: 520 円(税込)
販売価格: 520 円(税込)
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 139円〜
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・岩本 悠
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カスタマー平均評価: 5
本当に面白い 新聞紙上で紹介されていたので読んでみました。
文章はやや子どもっぽいですが、飾り気がない分、ダイレクトに気持ちが伝わってきました。
自分自身、中国に留学し、辺鄙な土地を歩き廻っていた頃のことを思い出しました。
生まれてから死ぬまでずっと路上で暮らす人たち…、筆舌に尽くしがたい光景を見て、人間って一体なんだろうと思う。
日本に帰ってきた時、まるで別世界にるようで、その分、日本人の非常識が見えてきて「おめ?ら、それ違うだろ」と一言文句を言いたくなる。
でも、なかなかその気持ちをうまく伝えられない。
結局は説教や自慢話と受け止められて終わり。
言うのもバカらしくなって何も言わなくなり、周囲に合わせる自分がいる。
あえて筆をとった作者に敬意を表します。
目頭が熱くなりました。
この本に出会えたことが幸せだ! 空、海、草原の蒼さが輝いている。そして感じる。そういう「時」が人生で最高の瞬間だろう。
大人になる過程で、誰しもがいろんな形で様々なシチュエーションで経験する「青春」という二文字。
自分を探し求めて、存在することの意義を求めて、希望と失念に葛藤しながら、さまよい歩くものたちよ。
激しく揺れ動く鼓動をもっと速く、ほとばしる血潮をもっと熱く、そして進路を究めるものたちよ。
「その時」しかわからない感性。歳を経るにつれ、感慨深い想い出となり青き果実が熟れるもの。
そう、作者の言うとおり、「幸せ」って実体のあるものではなく、感じるものだと共感する。
そう、「幸せ」とは心に響くものだ。
今まさしく青春だという若人にはぜひ一度読んでほしい。そして本書から得られるエキスを感じ取ってほしい。
壮年、老年の方には本書を読んで、是非とも蒼きエッセンスを想い出してほしい。あなたの熱きを語った青春時代を。
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[ 単行本 ]
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フィンランド語は猫の言葉
・稲垣 美晴
【猫の言葉社】
発売日: 2008-04
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 900円〜
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・稲垣 美晴
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カスタマー平均評価: 5
フィンランドが大好きになる本 最近、気になっていたフィンランド。でも、実態がつかめなかった。だが、この本を読んだら、フィンランドの人と生活がくっきりと浮き彫りになった。フィンランド語を勉強する著者の奮闘ぶりがものすごくユーモラスに描かれている。どんな壁が立ちはだかろうとも、めげずに、いや、むしろ楽しんで、道を切り開いていく姿は、読者に元気を与えてくれる。
やり直しがきく教育システムにより、「やっぱりフィンランドで勉強してよかった」と、著者自身が述懐しているように、お手本になりうる発想が、この国にはいろいろありそうだ。「フィンランド人との付き合いのなかで素直になった」と著者は言うが、多くのフィンランド人と長年にわたって友情を育てることのできた著者の人間性も素晴らしいと思う。
寒い北国の四季の移り変わり、留学生を温かく見守り助けてくれる先生や隣人、いろいろな国からやってきた仲間達、どの章もあまりにも生き生きと描かれているので、読み進むうちに、どんどんフィンランドに魅了されていく自分に気づく。そして、読み終わると、さわやかな気分になり、フィンランドが大好きになっていた。
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[ ハードカバー ]
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日本浄土
・藤原 新也
【東京書籍】
発売日: 2008-07-29
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 800円〜
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・藤原 新也
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カスタマー平均評価: 4
初めて手にしたが、後悔はない 藤原氏の作品を手にとったのは初めてだ。書店で目にして、つい、という感じ。
長年のファンの方には見るに耐えない作品のようだが、初めてだと、割といける。私自身は本を読んで泣くタイプではないので、少々感傷的過ぎるかなーとも思うが、この程度の「昔はよかった」は許されるのでは?もっと悪質な、危険すら感じる「昔に帰ろう」が巷には満ちあふれている。
今までの作品を知らず、表紙を見て気になった方は、買っても損はないと思う。
新也、ママチャリで南へ 『東京漂流』のころから較べて、
藤原新也は、だいぶまるくなった。
物足りなくなった、と批判する向きもあろうが、
でも、このまるくなったところに、
肩の力が抜けた「おかしみ」がある。
とんがった感覚にエッジの利いた文章だったのが、
いまでは、人をくるむような感じといったらよいか…。
天草で、ママチャリに
ホンコンフラワーとまねき猫を乗せて
牛深へと疾走する藤原新也は、
いいと思う。
もっとガンガン書いて欲しい。
名もなき街の名もなき日本の風景。 世界を歩き続けてきた藤原新也が描いた、日本の名もなき街の名もなき人間や風景の描写。
情報化社会のなかで、均一化、効率優先の時の刻みとともに、失われつつある風景や文化、そして人と人の出会いを彼独特の視点で描いている。 怒り、悲しみ、喜びなどの感情を超えた、彼独自の描写に感嘆。
日々の生活、人生の大事を考えさせられました。
バージョンアップされたメメント・モリ この作品はかつての、「唾」か「花」かという両極でのせめぎあいから紡ぎだされた作品と違い、新たな視点を獲得したように感じる。かつての土門拳のように。
個人的には「渋谷」の延長にある作品ではないかと思った。
ユーモアもあるし文章もところどころくだけていて親しみやすい。
自分自身、読み終わってからビックリしたのは、やたらと読後感がいいのだ。
これは今までの藤原作品にはない新境地だと思う。
カラーは白、だからだろう。
藤原さんも64才になられたのですね、、、 白い愛くるしい猫ちゃんは藤原さんの前では油断していますね。本当にかわいいですよ。
わたくしはいままで10万冊の各種レビューを書いてまいりました。こちらではまだ400冊
ほどでしょうか。
わたくしはレビューを書きますときその方の人となりを探して把握いたします。
言葉というものの大切さは、命を助けようとおこがましいのですが、ボランティアを
いたしております。言葉によりどんなに用心深くしても誤解が生じます。助かる方
亡くなる方、沢山華をたむけてまいりました。言葉は優しくもあり残酷でもあります。
わたくしは世の中に不要なものは無いと体験から考えております。
そして、人のこころは思ったほど強くないという事も知っております。
まず、謙虚であれ、自分の文章が相手を傷つけては居ないだろうか。
失礼な言葉をつかってはいないだろうか。そんなところでしょうか。
レビューはお金を出して買っていただく本のためのきっかけを示しています。
ですから沢山の評というのがあるとよろしいと思います。
私のように沢山書いておりますと、作者の人となりがわかるようになります、
そして書きたいけれどかけない事を行間により読むこともできるようになります。
6年ほど以前、藤原さんは「祈りのかたち」というTALKにつぎのような
文章を書いておられました。
うろ覚えですがだいたいこのようだとおもいます。
+++++++++
今この瞬間の心の平静がどのような局面にもゆるがぬ柔らかで強固なものになれるように。
海のようにどんな他者の不安や心の荒廃も受け止めえる自分になりたい。
このようでした。
++++++++++
で、レビューしなくてはいけませんね。
幼い藤原さんて案外おませさんだったのねーあはははは なんて笑えました。
お写真も、わたくしもですが、ぼけていたりしてもそのような写真が案外キリキリと
胃が痛くなるような不安定日常を自分達の力の無さで作り上げてしまった。いててて
というかたにはよろしい訳です。
藤原があの程度なら僕にももっといいのが撮れる、よろしいではないですか。
そろそろ、老人力の年齢なのですから。体裁もかわいい聖猫により目立ちます。
わたくしの知り合いの書店で前の方にならべましたら、中年層にはうけておりました。
需要はどうやら疲れた世代に購買力を発揮しそうです。
藤原さんは風のように雨のように雲のように山のように疲れた人たちの
肩の凝らない本を書かれたようです。ぜひおかいもとめください。
わたくしは☆5のものしかお薦めいたしません。
あははは。
夏休みにどうぞ、推薦いたします。
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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ラダックの風息 空の果てで暮らした日々 (P‐Vine BOOKs)
・山本高樹
【ブルース・インターアクションズ】
発売日: 2009-03-06
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,233円〜
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・山本高樹
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カスタマー平均評価: 4.5
読み易い文章と、素敵な写真。 現地密着型のフリーライターが書いた、ラダック地方(インド)の生活記。
レヴュアーの自分は、ラダックに行ったことはないが、フンザ谷やカラーシュ谷(いずれもパキスタン)と、かなり似た雰囲気を感じ取った。
地理的に、距離も近いし、環境も近いためであろう。
表紙の子の帽子や、花の民の被り物にしたって、カラーシャ人の女性の被るシュシュトと、装飾方法は酷似している。
文明社会に生きる我々にとっての、「失われて行く楽園」の一つであるラダック。
土臭くて、峻厳で、だけど温かな地上の楽園。
読み手を行きたくさせる旅行記や滞在記というのは、素晴らしいと言えよう。
そしてこの本は、素晴らしい本だ。
写真は素敵だし、口語調の文章も読み易くて良い。
あこがれのラダック。 ラダックには憧れがあって現地にも行ったことがありますが、普通の短期旅行者には時間的、物理的に見られないであろうラダックの自然や文化、人々の生活の様子などが、たくさんの写真と丁寧な文章で綴られています。特に写真。圧倒的な自然、文化的宗教的なものごとの美しさ、人々の表情や生活の営みのすばらしさに、ずっと眺めていたいような気持ちになります。(特に冬の灯火、チャダルの章がすてきでした。)また、写真や文章の合間に、ラダックの基礎知識、旅行情報や地図、ラダック語の会話帳など、実用的なコラムも。ラダックに興味がある人も、まったく興味がない人も、すばらしさが味わえる本だと思います。
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[ 新書 ]
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カラー版 イタリア・ロマネスクへの旅 (中公新書)
・池田 健二
【中央公論新社】
発売日: 2009-04
参考価格: 1,050 円(税込)
販売価格: 1,050 円(税込)
( 在庫あり。 )
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・池田 健二
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カスタマー平均評価: 5
ユニークなイタリアのガイド ルネサンスという言葉が一度も出てこない、ユニークなイタリアのガイドブックです。
11、12世紀に建設されたロマネスク様式の教会だけを扱っていて、イタリア8地方にある24の大聖堂や修道院、教会の歴史・建築・彫刻・壁画などが詳しく解説されています。そして、何よりも美しいカラー写真が魅力です。パルマやピサなどの有名な大聖堂も含まれていますが、かなりのイタリア・マニアでも初めて目にする教会が多いのではないかと思います。個人的には、ウンブリア地方が掲載されていないのが、ちょっと残念です。イタリア美術やロマネスク美術のファンには必読の本であると思います。
昨年出た「フランス・ロマネスクへの旅」の続編のようですが、次回はスペイン編を是非、期待しています。
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[ 単行本 ]
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黄泉の犬
・藤原 新也
【文藝春秋】
発売日: 2006-10
参考価格: 1,950 円(税込)
販売価格: 1,950 円(税込)
Amazonポイント: 19 pt
( 通常6〜9日以内に発送 )
中古価格: 800円〜
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・藤原 新也
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カスタマー平均評価: 4.5
読み物としては面白いが インド旅行、麻原彰晃の原体験、ヒマラヤ聖者の実像を明らかにした傑作と聞いて、読みました。
たしかに、麻原が水俣病未認定患者という仮説を検証していく過程や、インドで死体を喰う犬の群れとの格闘、インドで偽空中浮揚を見破るシーンなどは臨場感があります。
また著者の独特の視点から見るインド、麻原とオウム、現代若者論など、読み物として面白いものでした。
ただ全体を貫くテーマや著者のスタンスが、初めて著者の本を読んだ私には、分かりにくく感じられました。
麻原彰晃の実兄のプライバシーに配慮して連載が中断され、性格の異なる連載が一冊にまとめられたという後書きに一応納得しましたが、何となく違和感がある。
思うに、著者の立ち位置が、紀行文とドキュメンタリーと思想書の間で定まらないように見えるせいかもしれません。
オウムの青年の旅と著者の旅は、宗教という体制に簡単に染まるか、頑なに拒むかという点で正反対だと筆者は言います。
そんな第三者的視点が、興味深い分析をもたらしています。しかし正反対の道はコインの表裏であり、本質は変わらない気がします。
つまり、どちらもインドの宗教を理解しようとしていなかった。そのことは、インドやそこで出会う人々、ある意味間抜けな聖者達に対して、著者の愛情があまり感じられない点に表れているように思えます。
著者がインタビューに成功した麻原の実兄にも、短い間に信頼関係を作るなど著者の懐の深さを感じさせますが、弱者と断言したり対象に対して冷たい印象を受けます。
仮説を積重ねるうちに仮説を超えて核心に至る。そこで生まれる爽快感が弱く、読後にモヤモヤ感が少し残りました。
インドで火葬場を見続けた著者が、肉体とこの世の無常を理解し、冷静に可能性を探る客観的な分析をした評論と見るか、対象と一線を引いて分析のもう一歩先の本質に迫らなかった体験記と見るかで、印象も変わるかもしれません。
メメント・モリの衝撃が… 写真集「メメント・モリ」に圧倒されて以来、藤原さんの文章は多く触れてきましたが、この「黄泉の犬」は私としては今ひとつでした。第一章「メビウスの海」はするどい文明批評で、いつもの藤原さんの切れ味を感じましたが、表題にもなっている第二章の「黄泉の犬」が違和感がありました。ブックカバーにも表題にもなっているので、もっとも気持ちの入った章だったのかもしれませんが、私は「メメント・モリ」の写真の説明をしてしまっているように感じて、残念でした。あれらの写真はあの時点で充分に多くのものを語っています。無言の写真だからこそ圧倒的な力があったのだと思います。あの写真だけで、充分に「その写真以上のもの」を感じさせる力がありました。その背景の部分を語ってしまうと、逆に世界が貧弱になってしまうのではないでしょうか。私は、説明して欲しくなかったと思います。それでも、全体的には、いつもの藤原さんの切れ味は感じられたので、四点です。
初めて明かされる秘話 といっても私が驚いたのは
麻原兄についてのくだりではない。
これまで長い間書かれずにいた、
「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」の
あの写真を撮ったエピソードに「その後」があったということ。
そしてそれを藤原新也がずっと書かずにいたというまさにそのこと。
藤原新也という表現者の本質について考えるとき、
本書で書かれた「事実」が持つ意味は限りなく深い。
『東京漂流』からの古い熱心な読者には、ある種の、
「腑に落ちる」感覚が必ずあるはずだ。
このエピソードを読むためだけでも購入の価値がある、
まぎれもない傑作。
宗教そしてインドを中心にした藤原新也の総集編 写真家としての複眼視的な冷静さと正確さで宗教とインドの旅を記す紀行文。
さらに、その思考の発展の上でオーム真理教についても大胆なる仮説を提示する興味深い本である。たくましく、そして真摯に思考を重ねる著者の足跡に感嘆せずにはいられない。過去の著作に一気に興味をそそらされること請け合いのHidden Jewelである。
身体で読む BOOKデータベースの内容説明に「インド紀行完結篇」とあるように、これは旅の本である。
著者の文章を読みながら、我々は、そこに放たれる生々しい匂いを確かに嗅ぎ、
聞こえるはずのない砂漠の音を確かに聞く。
これは、身体で書かれ、身体で読まれる、旅の本である。
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[ 文庫 ]
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全・東京湾 (新潮文庫)
・中村 征夫
【新潮社】
発売日: 1992-11
参考価格: 734 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1円〜
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・中村 征夫
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カスタマー平均評価: 5
別の姿に映る海 東京で泳ごうとする人は極まれです。なぜならそんな気を起こさせない程開発されて、汚れているイメージがあるからです。それでも依然として東京湾が綺麗な海になることを諦めたくはないし、あまりにも東京湾をしらなさずきるのでいつか知りたいと思っていたのでした。そんな折、数少ない東京湾を泳ぐ人中村征夫さんの本に出会いました。やはり侮り難い海でした。逞しい生き物達の営み、身体張って海を糧とする漁師たち、海を汚している元凶となる開発は目に見えない海の底までも開発の波に巻き込んでしまっていました。イメージを一新する東京湾の姿がこの本に描かれていました。東京に住む人々が陸からではなく海から物事を考えた時、世界は変わって行く事でしょう。海は国境はなく世界とつながっているのですから。
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